ストライクZONEは、競走馬の前走の着順や位置取りから、今走で狙える馬かどうかを判別する馬券術です。
「競馬最強の法則」が廃刊となり、その数か月前から発売された「競馬の天才」で連載が開始され、このたび書籍化されるということになりました。
この手の馬券術は私の好きな分野であり、これまでも「稼動指数」「単撃指数」が過去データから指数が計算しやすい馬券術でした。
ストライクゾーンの書籍の説明にもある通り、競馬新聞があれば手軽に計算できるものなので、TARGET を使えば瞬時にオリジナルの出走表が作れます。
実際に、穴馬の単複で狙えそうなデータも見えてきたのでお楽しみください。
ストライクゾーンの特徴
ストライクゾーンは、その名のとおり野球のイメージがベースとなっている理論です。書籍のあらすじを読んでもわかりますが、著者がとっても野球好きなのでしょう。
今回は野球のボールカウントを表す 3×3 のマス目を使って、前走の 3,4 コーナーの位置取りと着順をマーキングしていく馬券術です。
実は 2018 年に将棋盤を 3×3 のマス目でイメージした馬券術が「競馬最強の法則」に連載されました。あれは藤井聡太棋士の活躍に便乗したものでしょうが、今回の方が理論的には上な期待感があります。
「勝負MAPパズル」に興味のある方は下記をご覧ください。

さて、ストライクゾーンに話を戻します。
特徴としては、前走で走った JRA の各コースにおいて、上記でも少し触れた以下の 3 つのファクターに注目する点です。
・3コーナーの位置取り
・4コーナーの位置取り
・着順
これに該当する馬の、単勝と複勝の的中率と回収率が掲載されています。
雑誌の連載を見ていた時から感じていたのですが、これに該当した馬だけを買っていてもとてもじゃなけど勝てません。
普通に控除率を考慮した数字を下回る成績もありますからね。
しかし、ここに明らかに馬券に絡まない馬(人気のない馬)を除外したり、レースの開催時期ごとに分析するなど回収率を高める技術が詰め込まれています。
人気(オッズ)のフィルタリングはともかく、開催ごとにベースとなるデータを変えてしまうと母数的な心配が出てきますが、ここは 4 年間のデータを使っているということで一旦スルーしておきましょうか。
ここの集計は TARGET があれば後追いでも確認できますし、単年でどうだったかの検証も可能です。
中山ダート1200mの考察
いきなり「中山ダート1200m」が出てきて驚かれたかもしれませんが、書籍の冒頭でこのコースを使った分析結果が紹介されています。
私もこのコースの特徴はよく知っていて、一時期、外枠の馬の 3 連複 BOX 馬券を買い続けていたこともあります。
2018 年の冬から春にかけては、実際に外枠の人気薄が絡みまくって 3 連複 10 万円超えの馬券も何度か出たのですが、その時に限って買ってないという・・・。
さて、話を書籍に戻しますが、ここでは皆さんが真っ先に調べてみようかなという分析を例に挙げています。
例えば、以下に該当した馬の単複の的中率と回収率のデータです。
・7,8枠で逃げ・先行した馬
・7,8枠で前走が逃げ・先行の馬
・7,8枠で前走が差しの馬(今走で先行した馬)
また、これらに着順の要素を加えると妙味のある馬が炙り出されてくると言うわけです。
ここまでは多くの人が分かり切っていることだと思いますが、それを開催別かつコース別に分析した結果をまとめてくれているので参考になります。
TARGET のデータとちょっとしたプログラミングで解析してしまえば、このストライクゾーンの妙味馬が一瞬で算出できてしまうので私にとっては好都合です。
ストライクゾーン馬の算出方法
では早速、ストライクゾーン馬(SZ馬)を導き出す方法を検証していきましょう。
前にも書きましたが、該当馬の選出に必要なファクターは以下の 3 つです。
・3コーナーの位置取り
・4コーナーの位置取り
・着順
ここに、今走の開催時期(第何回目の開催か)とコース(競馬場、芝・ダート)を加えるだけです。
前走データの中でこれらの情報が揃えられれば、誰でも簡単にストライクゾーン馬を調べることができます。
本の表紙にも書かれていますが、イメージとしてはこんな感じです。
前走3角 | 前走4角 | 前走着順 |
---|---|---|
先行 | 先行 | 1着 |
中団 | 中団 | 2~5着 |
後方 | 後方 | 6着以下 |
各項目の定義は以下の通りです。
先行(前走が18頭立てなら1~6番手)
中団(前走が18頭立てなら7~12番手)
後方(前走が18頭立てなら13~18番手)
これは「勝負MAPパズル」と同じ定義なのでわかりやすいですし、既にプログラムを作成済なので使い回しができます。
開催時期については、年によって施行タイミングが変わったりする場合もあるので要注意です。できれば区別したくない。
しかし、著者が実際に精度を上げるために重要なファクターと書いているので、ここは素直に従っておく必要がありそうです。
どちらにしても、算出した馬の結果を再集計してみれば判断できそうです。
ストライクゾーン馬の自動計算
ストライクゾーンの場合、レース単位ではなく該当馬の洗い出しになるので、開催単位のリストを用意した方が楽そうです。
例えば以下のようなリストですね。
これがあれば Excel でも簡単に管理できます。
ただ TARGET の欠点というか、JRA-VAN のデータの問題なのですが、各項目のフォーマットがお役所臭いというか・・・。
古いシステムのガチガチに凝り固まったデータフォーマットなのですよね。
例えば、「第1回 中山」みたいなデータが欲しいのに、この出走馬分析の画面では該当項目がないのです。
また、この出走馬分析の表だと障害レースの区別が付けにくい。仕方ないのでコースグループを設定して除外しました。
レース単位の出走表画面だと、選択できる項目や表示形式が違ってくるので、TARGET のみで都合がいい出走表を作るのは難しいのが現実。
最終的に Excel で集計してもいいのですが、扱いにくい項目は他にもあるので、システムを組んで項目ごとに柔軟にパースした方が断然に効率がいいですよ。
最後は、この「前走の結果」と「今走のコース」を書籍で紹介されているパターンと照合すれば目的が果たせます。
ただし、冒頭でも書いた通り、ベタ買いではなく単勝オッズや着差でフィルタリングすることで回収率が向上する条件があるので、そこを意識して選定しましょう。
サンプルで検証
では、2019 年の締めくくりである「第5回 中山」の最終日のレースを使って確認してみましょう。
せっかくなので、ホープフル S をサンプルにしてみましょうか。
中山の芝で絶好の条件は、書籍によると以下のパターンが存在します。
・中団 ⇒ 先行 ⇒ 2~5着
・先行 ⇒ 先行 ⇒ 6着以下
・中団 ⇒ 中団 ⇒ 1着
では、さっそく計算させてみましょう。以下のような結果となりました。
該当馬が多いので、このレースの判断は難しいところですが、このように該当馬を抽出していけば狙えるレースも見つけやすくなります。
ホープフル S は人気決着となり、1~3 着の 3 頭とも該当していますので、別のレースも見ておきましょう。
中山最終の芝のレースはどうでしょうか。ベストウィッシュカップですね。
こちらは該当馬がソーラーフレアの 1 頭でしたが、残念ながら 5 番人気で 6 着でした。
しかし、こういった妙味のありそうな馬を狙っていくのが、このストライクゾーンになります。
ちなみに、中山 2R は消しパターンの「×」が付いたニーズヘッグが馬券に絡みましたが、そこをあまり意識しなければ狙い馬だけで穴馬券がとれたかもしれませんね。
ワセダウォリアーを拾えたのは美味しいですよね。単複ならいいですが、「◎」「△」に該当した馬が複数頭いると馬券に悩みますね。
該当馬のフィルタリングと成績
では、2019 年を振り返る意味でも、この第 5 回中山開催以外のレースも集計してみましょう。
ただし、今走の単勝オッズや前走の惨敗など、回収率をアップさせるために除外する条件もあります。
そこを細かくしてしまっても大変なので、今回は単勝オッズ 30 倍以上、前走 2.0 秒以上負けた馬を除外しましょうか。
過去の成績や事象がすべて未来に繋がるわけではないので、ガチガチにルールを決めても意味がありません。
よって、以下の馬について単複を集計します。
(サンプルの少ない激レア・激アツパターンは除外)
・「◎」に該当した馬
・今走の単勝オッズが 30 倍未満
・前走で2.0秒以上負けていない
まずは中山と阪神の第 5 回、中京の第 4 回の全成績です。
(2019年11月30日以降)
同じレースに複数の「◎」該当馬がいても、すべての単複を購入したと仮定します。
競馬場 | 該当馬 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|
中山 | 123頭 | 73.0% | 78.8% |
阪神 | 151頭 | 75.0% | 84.0% |
中京 | 67頭 | 177.7% | 81.7% |
うーん、中京の単勝回収率を除くと目立った成績ではないですね。中京も母数が少ないのでまだまだわかりません。
フィルタリングをしない場合の成績
上で紹介した成績が目立った感じにならなかったので、以下のフィルタを外してみます。
・今走の単勝オッズが 30 倍未満
・前走で2.0秒以上負けていない
圧倒的に人気のない余分な馬は買いたくないと思いますが、まずはストレートに素直な数字を出してみましょう。
しかし、目も当てられない結果となりました・・・。
フィルタはあった方がいいですね(笑)
それにしても、この期間だけ集計してみると、その他の期間の集計をする気力がなくなるというか・・・。
これなら、当サイトの「キャリア指数」の方が抜群に成績がいいでしょ。

ここまでで感じたことは、
・フィルタはあった方がいい
・単複以外の馬券種はどうか
やはりフィルタリングしても、同じレースに複数の該当馬が出現するケースがあるので、該当馬を安易に買い目に入れるのではなく、そこから吟味した方が良さそうですね。
逆に、該当馬の中から妙味のあるオッズの馬だけを買うとか。
ここまでするのなら、ストライクゾーンじゃなくていいじゃないかということになりかねませんが(笑)
ということで、1 つのレースに 1 頭だけ「◎」に該当する馬がいる場合のみ対象にしてみたいと思います。
対象レースはガクっと減るでしょうが、妙味のある馬が少ない方が該当馬の妙味も増えます。
競馬場 | 該当馬 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|
中山 | 36頭 | 56.6% | 103.6% |
阪神 | 19頭 | 107.3% | 109.4% |
中京 | 25頭 | 112.4% | 58.8% |
上記の結果を見る限り、対象馬は減ってしまいましたが回収率はグンと上がりました。
母数が少ないので鵜呑みにはできませんが、単勝 30 倍未満の馬の複勝でこの結果なので悪くない部分もあります。
もちろん、もっと母数を増やしてみないといけませんが、若干の兆しは見えてきました。
2019年秋競馬の成績
2020 年から試している方法ですが、以下の条件について 2019 年の秋競馬の結果を集計してみました。
・今走の単勝オッズが 30 倍未満
・前走で2.0秒以上負けていない
・前走で9番人気以内
・今走のレースで妙味馬が1頭だけ
書籍で△に該当する馬もオッズなどのフィルタを通すので◎の扱いにしました。
これで、該当レースに妙味馬が 1 頭だけの時、その妙味馬の単複を購入したらどうなるかという分析になります。
京都競馬場の改修の影響もあり、2020 年のレーシングカレンダーが特殊なので、著書から 2019 年の一部のレースが集計できないですが、わかる範囲で集計してみました。
具体的には 2019 年 9 月の阪神開催、2019 年 11 月の京都開催などですね。これらのデータはないので、集計対象外とします。
馬券種 | 該当馬 | 的中率 | 回収率 |
---|---|---|---|
単勝 | 181頭 | 18.2% | 89.9% |
複勝 | 181頭 | 45.3% | 89.3% |
控除率を考えると悪くない数字なのですが、この馬券術を取り入れてみようと思えるような結果ではありませんでした。
この馬を軸として利用するのか、それとも妙味馬が複数頭いた場合のレースにおいて馬券を購入するのか迷うところではあります。
該当馬は単勝 30 倍以下であり、すべてが人気馬ではないということを考えると、馬単や 3 連複の軸としては面白いかもしれませんね。
人気のない時はあえて馬単を取り入れてみたり、人気がある時は信頼の軸として相手を考えてみるなど。
2019 年のデータについては冒頭にも書いたようなフィルタをしましたので、そのあたりも改良の余地はあるかと思います。
ちなみに、複数頭数のケースを全頭買いした場合は以下の通りです。
馬券種 | 該当馬 | 的中率 | 回収率 |
---|---|---|---|
単勝 | 1451頭 | 14.0% | 76.9% |
複勝 | 1451頭 | 37.0% | 74.8% |
2019年冬競馬の成績
2020 年も開幕ということで、2019 年の同じ開催に合わせて成績を見てみましょうか。
・今走の単勝オッズが 30 倍未満
・前走で2.0秒以上負けていない
・前走で9番人気以内
・今走のレースで妙味馬が1頭だけ
上記の条件は秋競馬の集計と同じにしています。
まずは 3 月までの以下の開催において、どの程度の収支になるか確認してみましょう。
・中山(第1回)
・京都(第1回)
・中京(第1回)
・東京(第1回)
・京都(第2回)
・小倉(第1回)
妙味馬全頭のパターンと、レースに 1 頭だけ妙味馬がいる場合の 2 パターンを集計します。
馬券種 | 該当馬 | 的中率 | 回収率 |
---|---|---|---|
単勝(1頭のみ) | 113頭 | 15.9% | 123.5% |
複勝(1頭のみ) | 113頭 | 43.4% | 90.2% |
単勝(全頭) | 986頭 | 14.6% | 93.0% |
複勝(全頭) | 986頭 | 39.1% | 82.9% |
妙味馬 1 頭に絞った場合は単勝回収率が 100% を越えました。ただし、母数は 113 レースなので鵜呑みにはできません。
一方、妙味馬が複数いた場合の全頭買いは、100% を越えることはありませんでした。控除率を考えれば良い方ですが、マイナスには変わりありませんからね。
まとめ
「ストライクZONE」の馬券術について紹介してきました。
2019 年の 12 月の開催のみ分析してみましたが、まとめると以下の特徴を持っていることがわかりました。
・確かに妙味のある馬を見つけられる
・該当馬が複数いた時に横の比較がしにくい
・馬券の購入方法に課題を残す
1 つのレースに該当馬が 1 頭の時もあれば、多い時は 5 頭を超えます。
今回は単複で集計したので、全頭買い(フィルタあり)の場合と、該当馬が 1 頭だけのレースにわけて紹介しました。
単勝 10~30 倍のゾーンにある単勝の的中も多いので感触は悪くないです。
2020 年のスタートとなる、中山と京都の開催でも試してみたいと思いますし、当サイトでもピックアップした馬を紹介していきます。
1 つ残念なのは開催ごとにアルゴリズムが異なるので、2020 年の開催に対応しにくい点。これは著書の中でも説明されていますが、京都競馬場の改修工事や東京オリンピックの影響による夏の開催にはそのまま使えないケースもあります。
精度を考えると仕方ないことなのでしょうが、もう少しシンプルになると多くの人に活用してもらえそうですね。
回収率重視の競馬予想が加速する中、的中すれば確実に儲かるように資金配分する馬券にも注目が集まっています。
当日買いの人にオススメしたいのが、以下の 2 つの馬券術。
・的中率 70% の単勝馬券
・3 連複を中心とした投資馬券
どちらも高い的中率のゾーンを狙う馬券術のため、レースの締め切り 5 分前くらいまで時間を使える人に適しています。